健康になる運動とは?
~基本を知り、自分に合った運動を考えるために~
1.はじめに
「健康のために運動しましょう。」
この言葉を、一度は耳にしたことがあるのではないでしょうか。
しかし、
「毎日歩いた方がいいの?」
「筋力トレーニングはした方がいいの?」
「運動は長い時間やればやるほど健康になるの?」
このような疑問を持つ方も多いと思います。
実は、運動は「たくさんやれば良い」という単純なものではありません。
コラム62では、食事について、
「まず基本を知り、その上で自分の体に合った食事を選ぶ」
という考え方をご紹介しました。
運動も同じです。
大切なのは、
基本を知り、自分の体を知り、自分に合った運動を続けること。
今回は、健康貯金につながる「運動の考え方」についてお話しします。
2.運動にも「基本」があります
運動というと、ウォーキングや筋力トレーニングを思い浮かべる方が多いかもしれません。
もちろん、それらも健康づくりに役立つ運動です。
しかし、健康という視点で見ると、まず大切なのは、
体を偏りなく、バランスよく動かすこと
です。
体が左右や前後に偏った状態で動き続けると、一部の関節や筋肉、神経などに負担が集中しやすくなります。
その状態で運動量だけを増やしてしまうと、健康のために行っている運動が、かえって痛みや不調につながることもあります。
反対に、体全体を偏りなく、バランスよく動かすことができれば、特定の場所に負担が集中しにくくなり、体を痛めにくくなります。
また、体は動かさなければ、筋力や柔軟性、持久力、バランス能力などが少しずつ低下していくことがあります。
だからといって、無理に強い運動をする必要はありません。
運動の目的は、体に無理をすることではなく、
体が本来の働きをしやすい状態をつくることです。
体を整えながら、その人に必要な力を少しずつ育てていく。
まずは、この考え方を知ることが、健康づくりの第一歩になります。
3.まずは自分の体を知りましょう
年齢や体力だけではなく、
- 姿勢
- 筋力
- 柔軟性
- 仕事
- 生活習慣
- これまでの運動経験
- 痛みの有無
などによっても、体の状態は変わります。
そこで大切になるのが、
自分の体を知ること
です。
例えば、鏡などを使って、自分の姿勢や体の偏りを確認してみましょう。
- 肩の高さは左右で違わないか
- 体が左右どちらかへ傾いていないか
- 体が前後に大きく傾いていないか
- 立ったときに、どちらか一方の足へ体重が偏っていないか
このような点を見ることで、自分では気付いていなかった体の特徴が見えてくることがあります。
また、体を動かす基本的な目安として、
母指球・膝・胸(乳頭の位置)が床に対して垂直に揃うこと
を意識すると、体全体をバランスよく使いやすくなります。
ただし、これは全員が完全に同じ姿勢にならなければならない、という意味ではありません。
人によって体格や関節の形、これまでの病気やけがなどは異なります。
大切なのは、無理に形を合わせることではなく、
自分の体にどのような偏りがあるのかを知ることです。
自分の状態を知ることが、自分に合った動かし方や運動を考えるための出発点になります。
4.健康になる運動を考える順番
健康になる運動を考えるときは、次の順番を意識してみましょう。
① 自分の体を知る
まずは、自分の姿勢や体の使い方を確認します。
左右や前後に偏りがないか、どこか一部に負担が集中していないかを知ることが大切です。
自分の体を知らないまま運動を始めるのではなく、まずは今の状態を把握してみましょう。
② 体を偏りなく動かす
一つの筋肉や一方向の動きだけではなく、体全体をバランスよく使うことを意識します。
歩くだけ、筋力トレーニングだけ、と一つの運動ですべてを補おうとする必要はありません。
体には、曲げる、伸ばす、ひねる、横へ動かすなど、さまざまな動きがあります。
できる範囲で、体をさまざまな方向へ動かすことが大切です。
③ こまめに体を動かす
健康づくりは、決められた「運動の時間」だけで行うものではありません。
歩くこと、家事をすること、階段を使うこと、立ち上がること、仕事で体を動かすことも、健康づくりの一部です。
長い時間座り続けてからまとめて運動するだけではなく、普段の生活の中で、こまめに体を動かすことを意識してみましょう。
その際にも、自分の体の状態を知り、できるだけ偏りなく体を使うことが大切です。
「運動をする時間をつくらなければ」と考えるだけではなく、「今の生活の中で、体を動かす機会を増やせないだろうか」と考えてみましょう。
④ 自分に合った運動を選ぶ
基本を知った上で、自分に合った運動を選びます。
ラジオ体操のように、全身をさまざまな方向へ動かせる運動も一つの方法です。
ただし、ラジオ体操だけが正解ということではありません。
体全体を偏りなく、バランスよく動かせるものであれば、自分の好きな運動を選んでも構いません。
年齢、体力、痛み、病気、仕事内容、生活環境などによって、合う運動は人それぞれ異なります。
誰かにとって良い運動が、そのまま自分にも合うとは限りません。
自分の体の状態を踏まえた上で、無理のない内容や運動量を考えることが大切です。
⑤ 継続できる運動内容・運動量を考える
健康は、一日だけ頑張れば完成するものではありません。
大切なのは、無理なく続けられることです。
もし続けることが難しいと感じたら、
- 運動量が多すぎないか
- 運動の内容が自分に合っているか
- 行う時間や場所に無理がないか
- 生活の中へ取り入れにくくなっていないか
などを見直してみましょう。
続けられないことを、すぐに「自分の意思が弱いから」と考える必要はありません。
方法や量、生活への取り入れ方のどこかに、無理がある可能性もあります。
続けることが難しいと感じたときは、頑張る量を増やすのではなく、続けやすい方法へ調整することも大切です。
続けられる運動こそが、少しずつ体を整え、必要な力を育てることにつながります。
5.まとめ
運動には、多くの人に共通する「基本」があります。
それは、
自分の体を知り、体を偏りなく動かし、日常生活の中でもこまめに体を動かすことです。
しかし、全員に共通する一つの運動方法や運動量があるわけではありません。
まずは基本を知り、
自分の体を知り、
自分に合った運動や運動量を考え、
無理なく続ける。
そして、日常生活の中でも、体をバランスよく、こまめに動かしていく。
その積み重ねが、少しずつ体を本来の働きをしやすい状態へと導き、健康貯金になっていきます。
運動とは、「頑張る時間」を増やすことだけではありません。
体を上手に、こまめに動かす時間を増やすことも、大切な健康貯金なのです。
運動は「頑張ること」ではなく、
体を上手に使うことから始まります。
その積み重ねが、未来の健康貯金になっていきます。

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